なんだか、炭酸ガスレーザーの方がメスで治療するよりも良い気がしますが、では実際の治療の場ではデメリットもあります。
「メスと同じように使える」と言っていますが、実は炭酸ガスレーザーでの治療はガスバーナーで焦がし取る、そんな雰囲気に近いかもしれません。
それなので、メスで切ったようにホクロが取れるというよりは、表面からほくろごと焦がし取っているような治療方法になります。
①切除したほくろの正体を調べることができない(検査に出して皮膚癌を診断する事ができない)
②熱の影響で治療した部位の赤みが半年ほど続く
③深さの調整がしにくい
この3つの点で、炭酸ガスレーザーでほくろを治療する時にデメリットがあります。
特に①は大きいです。
どんなに見た目の診断が優れている医師でも、100%ほくろと皮膚癌を見分けることはできません。
実際に私も皮膚科医として20年近く診療を行っていますが、ご本人がほくろと思っているものの中で、皮膚癌というケースを経験しています。
症例1:30代女性 「ちょっと変なほくろだな」と若干の違和感を感じながら治療をして、検査の結果、悪性度の低い皮膚癌だった
症例2:20代後半女性 指にここ1年ぐらいでできたほくろ。診察した瞬間に「悪性黒色腫という悪い皮膚癌のできはじめっぽい」と感じて大学病院に紹介。実際に悪性黒色腫でした
症例3:50代女性 顔の中央に黒っぽいシミ。今まで他のクリニックで2度ほどレーザー治療をしたけれど変化なし。最近大きく広がってきているとのことで、こちらも悪性黒色腫を疑い、大学病院に紹介 → やはり悪性黒色腫