顔のイボが市販薬で取れない理由と正しい治療法

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「顔にポツっとできたイボ、シミかと思っていたら全然取れない……」 「市販のイボコロリを使っても変化なし……」

そんな悩みを抱える方に向けて、この記事では“顔イボ”が市販薬で取れない理由と、皮膚科での正しい治療法について、皮膚科専門医が詳しく解説します。

イボは市販薬では取れない

「顔にできたポツポツ、シミだと思って市販薬を塗ってみたけれど、全く効果がない…」 そんな経験はありませんか?

実は、顔にできるイボの多くは、ドラッグストアで売られているような市販薬では改善しないタイプの皮膚疾患です。

なぜなら、顔にできるイボの原因は、角質の肥厚だけでなく、皮膚細胞の腫瘍化やウイルス感染といった、医学的な処置が必要な状態であることが多いからです。

このセクションでは、顔イボに市販薬が効かない理由を、原因別に詳しく解説していきます。

脂漏性角化症は細胞の増殖が原因

顔にできるイボのうち、実に約9割が「脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)」と呼ばれる皮膚の良性腫瘍です。

これは加齢や紫外線の影響により、皮膚表面の“有棘細胞”が異常に増殖してできるもので、シミのように見えるため気づかれにくい傾向にあります。

角質の蓄積ではなく、皮膚細胞そのものが腫瘍化しているため、市販のスキンケアや角質ケアアイテムでは効果が出にくく、根本的な解決には医療的な除去が必要です。

イボコロリの成分は“タコや魚の目”には有効だが顔への使用はNG

市販薬の「イボコロリ」には、サリチル酸という角質を柔らかくする成分が含まれています。

この成分は、足裏のタコや魚の目のように皮膚が厚く硬くなった部位には効果的ですが、顔の皮膚は非常に薄くデリケートなため、使用には適していません。

それに顔イボの9割を占める脂漏性角化症は角質の塊ではないため、そもそもサリチル酸での除去は不可能です。

無理に使えば皮膚の炎症や色素沈着を起こすリスクがあるため、顔にできたイボには、市販薬の自己判断使用は避けるべきです。

ウイルス性イボには抗ウイルス作用が必要

一方、ウイルス性のイボである尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)や青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい)などは、ウイルスの感染によって発症します。

このタイプのイボには、ウイルスへの働きかけが必要となるため、角質除去成分だけでは対応できません。

治療には、液体窒素で凍結させる方法や、免疫反応を高める外用薬など、クリニックでの治療が必要です。

代表的な顔イボの種類と見分け方

顔にできるイボは、見た目や原因によって大きく3つのタイプに分けられます。

脂漏性角化症(老人性イボ)

脂漏性角化症は、主に中高年以降に多く見られるイボで、加齢や紫外線の影響で皮膚表面の細胞が過剰に増殖することが原因です。

茶色〜黒っぽい色をしており、一見するとシミと見間違えられやすいのが特徴です。

平らで目立ちにくいのですが、放置すると徐々に盛り上がったり、表面がカサカサ・ザラザラしてくることもあります。 肌のターンオーバーでは自然に消えることはなく、スキンケアや市販薬では改善しません。

見分けのポイントは、「シミかな?」と思って触ってみたときに少し盛り上がりやざらつきを感じるかどうかです。 このような場合は脂漏性角化症の可能性が高いため、皮膚科での診断をおすすめします。

男性の顔にある茶色い老人性イボ(脂漏性角化症)の症例写真

尋常性疣贅(ウイルス性イボ)

尋常性疣贅は、ヒトパピローマウイルス(HPV)による感染が原因で生じるウイルス性のイボです。

ザラザラ・トゲトゲした表面が特徴で、触ると硬くツンツンとした感触があるのが見分け方の一つです。

通常は、手足にできやすいタイプのイボですが、手で触れた部位から顔に感染してしまうケースも少なくありません。

「なんだか最近、顔に硬くザラついた小さなイボができた…」という場合は、ウイルス性の可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。

ウイルス性イボ

青年性扁平疣贅(ウイルス性イボ)

青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい)は、肌色〜薄茶色の平らなイボが、額・頬・あごなど顔の広い範囲に多発するウイルス性イボです。

10代〜30代の若年層に多く見られ、軽いかゆみを伴うこともあります。ニキビと見間違われやすく、誤ったスキンケアや薬の使用で悪化することもあります。

特に、かゆみがあるからといって自己判断でステロイドを使ってしまうと、ウイルスの増殖を助けてしまうリスクがあるため注意が必要です。

見分けのポイントは、「最近、顔に小さな平らなポツポツが急に増えた」「なんとなくかゆみがある」などの症状です。

この場合は、青年性扁平疣贅の可能性があるため、皮膚科での診察をおすすめします。

顔イボの正しい治療法

市販薬や自己ケアでなかなか改善しなかった顔イボも、原因に合った治療を受けることで、短期間で安全に除去することが可能です。

顔イボには、すでにお伝えしたとおり「脂漏性角化症」「尋常性疣贅」「青年性扁平疣贅」などいくつかの種類があり、それぞれ原因や適した治療法が異なります。

このセクションでは、顔イボの種類に応じた正しい治療法とその選択肢について詳しく解説します。

炭酸ガスレーザー

脂漏性角化症には炭酸ガスレーザーが最適

脂漏性角化症の治療において最も有効とされているのが、炭酸ガスレーザー(CO₂レーザー)です。

腫瘍の細胞をピンポイントで蒸散(じょうさん)させて取り除くことができるため、正常な皮膚へのダメージが少なく、通常は1回の治療で除去することが可能です。

また治療には、局所麻酔を使用するため、痛みはほとんど感じず、施術は数分程度で完了します。

炭酸ガスレーザー以外の選択肢

液体窒素による冷凍凝固

液体窒素を用いた冷凍凝固療法は、患部をマイナス196度で凍結させ、ウイルスや病変組織を壊死させて取り除く方法です。

ただし、患部の状態によっては水ぶくれや跡が残るリスクもあるため、脂漏性角化症の治療にはあまり向いていません。

ウイルスを壊死させることが目的のため、ウイルス性の尋常性疣贅や青年性扁平疣贅には、適した治療です。

電気メスなどの治療

電気メスによる治療もあり、これは高周波電流を使って病変部位を焼灼する方法です。こちらもダウンタイムが発生する可能性があるため、医師との相談が不可欠です。

ベセルナクリーム

ベセルナクリームは免疫反応を促進し、イボの原因となるウイルスを体の中から排除する効果があり、ウイルス性の尋常性疣贅や青年性扁平疣贅には、適した治療です。

顔にも安全に使用でき、自宅での塗布による治療が可能です。ただし、赤みやヒリヒリ感などの副反応が出ることもあるため、医師の指導のもとで正しく使うことが大切です。

ヨクイニン

ヨクイニンは肌のターンオーバーを整え、自然治癒力を高める働きがあります。ウイルス性イボの補助的な治療として用いられます。

即効性はありませんが、副作用が少なく、内服を続けることでイボの発生を抑える効果が期待できます。

治療を受けた患者さまの症例写真

炭酸ガスレーザーで治療をされた患者さまの症例を紹介します。

Co2レーザー経過

施術名
CO2レーザー(炭酸ガスレーザー)

施術の説明
レーザーにより、イボを除去する治療です。

施術のリスク・副作用
発赤、痛み、表皮剥離、くぼみ、色素沈着、色素脱失、内出血、傷跡の可能性があります。

施術の価格表示
22,000円

CO2レーザーの詳細へ

顔イボ治療に関するQ&A

Q. 顔のシミとイボは、自分で見分けることができますか?

非常に見分けがつきにくいため、皮膚科専門医による診察を受けることをおすすめします。特に脂漏性角化症はシミにそっくりの見た目をしているため、自己判断でのケアは危険です。

Q. 顔にイボコロリを塗ってしまいましたが大丈夫でしょうか?

顔の皮膚は繊細なので、サリチル酸が強く作用しすぎて赤みや色素沈着を引き起こす恐れがあります。今すぐ使用を中止し、皮膚科での早期診察をおすすめします。

Q. 顔イボの治療は保険適用されますか?

ウイルス性イボのように「治療が必要」と医師が判断した場合は保険適用になることもありますが、脂漏性角化症は“美容目的”と見なされるため、自費診療となるケースが一般的です。 「なかなか取れない」「気になるけど自己処理していいの?」とお悩みの方は、まずはお気軽にクリニックへご相談ください。

Q. 治療は痛いですか?

治療法によって痛みの程度は異なりますが、ほとんどの顔イボ治療では、麻酔の使用や冷却により痛みを最小限に抑えることが可能です。

たとえば、脂漏性角化症(老人性イボ)に使用される炭酸ガスレーザーでは、局所麻酔のクリームや注射を用いるため、施術中の痛みはほとんどありません。術後に軽いヒリつきや赤みが出る場合もありますが、多くは数日で落ち着きます。

また、ウイルス性イボに使用されるベセルナクリームやヨクイニン(内服薬)は、基本的に痛みのない治療です。 一方、液体窒素による冷凍凝固療法では、「ピリッ」とした冷たさやヒリヒリ感を伴うことがありますが、短時間で終了する治療です。

さらに、電気メス(高周波電気凝固)を用いた治療では、事前に局所麻酔を行うため、施術中の痛みはほとんど感じません。 処置後に少し赤みやかさぶたができることがありますが、適切なアフターケアを行えば数日~1週間程度で回復します。

このように、それぞれの治療法には適切な痛み対策が施されているため、「治療が痛そうで不安……」という方も安心して受けていただけます。

Q. 治療は皮膚科と美容皮膚科のどちらが良いですか?

イボの種類や見た目、治療の目的によって適切な診療科が異なります。 皮膚科では保険適用の治療(液体窒素や外用薬など)が中心で、ウイルス性イボや急性の症状には対応しやすい傾向があります。

一方、美容皮膚科では跡を残さない仕上がりを重視した炭酸ガスレーザーや電気メスなどの自費診療が受けられます。
※美容皮膚科でも保険診療に対応してくるクリニックは液体窒素でも治療も可能です。

特に顔にできたイボは「シミやホクロとの区別が難しい」「跡を残したくない」「なるべく早くキレイに治したい」などの希望があるケースが多いため、美容皮膚科での診察をおすすめする場合が多いです。

実は今回ご紹介した内容、皮膚科専門医が動画でさらに詳しく解説しています。

「なぜ顔のイボは市販薬で取れないのか?」「炭酸ガスレーザーってどんな治療?」といった疑問に、 実際の症例写真つきでわかりやすく説明していますので、ぜひご覧ください。

「なかなか取れないシミ…と思っていたら、実はイボだった」 そんなケースが最近とても増えています。

FLALUクリニックでは、“イボとシミ”の正しい見極めと、状態に合わせた最適な治療を行っています。 「これって何?」と気になる方は、お気軽にご相談ください。