キズパワーパッドの貼り替え、やめ時はいつ?皮膚科専門医が解説
ヤケドをした時や転んだ時など、いざという時に頼りになるのが「キズパワーパッド」です。
私自身も、いつもポーチに入れ靴擦れができた時や、何か困った傷ができた時など、傷ができたら貼ってしまうという感覚で使ってしまっている方が多いかと思います。
勢いでキズパワーパッドを貼っても大きな問題はないのですが、キズパワーパッドの素材はとても良いものになります。折角の良い素材が貼りっぱなしでは、台無しになってしまう場合があるのです。
キズパワーパッドの意外と重要な張り替え時期
今回は、「キズパワーパッドの意外と重要な張り替え時期」についてご説明していきます。この記事では、キズパワーパッドと言っていますが、他にも同じような商品がたくさんあります。どの商品を使っていただいても効果はほとんど同じです。
どの種類を貼っても使い方や注意点は同じになります。
「ハイドロコロイド」と言われる病院でも使用される素材のものを、探していただければ十分です。
キズパワーパッドは実際に使用される方はわかるかと思いますが、しっかりと密着してくれます。
軟膏などを塗らずに貼っただけでも、振っても外れないですし、横から見ても浮いてくることもありません。また曲げ伸ばしをしても、問題なく張り付いています。
密着した上でさらに、水分を通さないため湿った環境を常に作ってくれます。湿った環境は傷を治すのにとても良いのですが、困ったことに湿って密封されている環境というのは、ばい菌も大好きな環境なのです。
ばい菌が中で増殖してしまうと、傷が治りにくい、また治らないだけではなく傷が広がり逆に深い傷跡や大きな傷跡になるリスクもあるので、ばい菌が増えるのを防ぐこと、ばい菌が増えたらすぐに気づき対応することが大切になります。
今回は、傷跡になるリスクやばい菌の増殖を防ぐための、2つの見極めポイントをお伝えします。
ポイント①たまに貼り替え、傷をしっかり洗う
キズパワーパッドを貼りっぱなしではなく、たまに貼り替えて傷をしっかり洗ってください。
キズパワーパッドを一度貼ったらそれで終わりではなく、たまに開けて状況を見ることをオススメします。
キズパワーパッド自体が中に水分を貯めるので、時間が経つと白くふやけてくることがあるのです。
白くふやけている=傷から水分(浸出液・膿)などが出ているということになります。白くぶよぶよとしたままそれほど広がらない、中の液体が垂れてもこない場合は、3日程そのままにしておいて問題はありません。
3日程経過し、それでも中の水分が垂れてこない場合は、お風呂に入った際にゆっくり濡らしてキズパワーパッドを剥がし、石鹸をつけて傷のところを洗い、傷から黄色っぽい液体や、膿のようなものが出てないかを観察して下さい。
観察をした時に、黄色っぽい透明な浸出液が出ている場合は問題はありません。
反対に、黄緑色や不透明な緑色をしてたり、開けた際にいやな臭いがする場合は、感染を起こしている兆候になります。
その場合は、しっかりと石鹸をつけて洗い少し乾かしてから、お風呂上がりにすぐにキズパワーパッドを貼るのではなく、1時間程乾かしてから新しいキズパワーパッドを貼ってください。
反対にあまりふやけてなく、全くはがれてくる様子もないピタッと密着している場合は、キズパワーパッドを無理に剥がすとかえって皮膚が痛んでしまうことがあります。
何もふやけてもいない時は、3日を越えて5日ほどまで貼りっぱなしでも問題はありません。
無理にはがすと、治りかけた皮膚を剥がしてしまう可能性がありますので、全くふやけていない時に限り、5日間貼りっぱなしでOKです。
ポイント②
2つ目のポイントはとても重要になります。
先ほどは3日ほど経過して白くふやけてきた際のことについてご説明をしましが、今回は貼ったその日のうちにキズパワーパッドがぶよぶよし、隙間からつゆが垂れてくるような状況の場合です。
浸出液にしても膿にしても、1日で吸収できないくらい程の水分が出てきて垂れてくるという状況は、キズパワーパッドを貼るのには向いていない傷になります。
特に黄緑色の膿が、吸収ができずに垂れている場合は、相当強く感染を起こしている状況です。この場合は直ちにキズパワーパッドを剥がし、石鹸をつけてしっかり洗い傷口を乾かす処置法に3日ほど切り替えた方が良いです。
乾かす処置法では、密封するキズパワーパッドとは別に茶色いテープを使っていただくと良いです。
傷を石鹸をつけてしっかり洗った状態で、ワセリンをつけてその上に茶色いテープを切ったものを貼っていただくだけです。
傷を乾かすには、ガーゼを当ててテープで貼るイメージがあるかと思いますが、ガーゼを貼ってテープを当てると傷が乾きすぎてしまい、かえって傷跡が残ってしまう可能性が出てきます。
3日程少し乾かしたいという場合は、ワセリンを塗ってテープを貼るのが程よい乾燥状態になります。
3日ほどこの処置法を行なっていただき浸出液や膿がなくなってきたら、再度キズパワーパッドを貼ることに切り替えていただいて問題ありません。
逆に言うと、3日間しっかり洗い、ワセリンを塗ってテープ貼る処置をしていても、膿が出る状態の場合は、飲み薬の抗生物質を使わないといけません。
その際は、必ず病院を受診するようにしてください。
ワセリンを塗るのをオススメする理由
少し余談になりますけれども、「それだけ膿が出るのならしっかり消毒のために消毒薬を塗った方がいいんじゃないか?」「抗生物質の塗り薬を使った方がいいんじゃないか?」と思う方もいらっしゃるかと思います。
そこは考え方のため、絶対にワセリンが良いというわけではありません。
しかし、消毒薬に関しては使っても全てのばい菌を消毒しきれないという事と、消毒液が皮膚の治ろうとしてる細胞には害になってしまうことがあるのです。
それよりも石鹸をつけてしっかり流水で洗い流すということで、清潔を保つことが傷にとっては1番良いのではないかというところです。
傷口に使っているものとしてワセリンをご紹介しましたが、確かに軟膏でワセリンではなく抗生物質の入った塗り薬も市販でたくさんあります。
私自身がワセリンの方が良いと思っている理由としては、
②テープを貼った周りに痒みが出て、かきむしって傷が深くなる可能性がある
という2点になります。
今回は、キズパワーパッドの貼り替えの時期の見極め方についてご説明していきました。
キズパワーパッドの貼り替え、やめ時はいつ?皮膚科専門医が解説
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