レーザー後に色素沈着(PIH)ができて治らないとき(戻りシミ)

炎症後色素沈着

「レーザーでシミ取りをしたのにまたシミができている」それは戻りシミかもしれません。

戻りシミは炎症後色素沈着と呼ばれ、肌の炎症が治癒した後に色素沈着として残ってしまう現象です。

健康上の問題はなく放置しても問題ありませんが、せっかくレーザーをあてたのだからシミのない明るい肌を目指したいですよね。

この記事では、炎症後色素沈着と他のシミとの違いや炎症後色素沈着の治療方法を解説しています。

治療に用いる成分で日常生活にすぐ取り入れられる方法も紹介しています。

レーザー治療後に炎症後色素沈着が残ってしまった方はぜひ最後までお読みください。

炎症後色素沈着(PIH)とは?

炎症後色素沈着(PIH)は、レーザー治療やその他の肌への刺激によって引き起こされる一時的なシミの状態です。

肌が炎症を起こし、その結果としてメラニン色素が過剰に生成された結果、色素沈着が生じています。

炎症後色素沈着の主な原因は、肌への外部刺激やダメージによるもので、レーザー治療が代表例です。

レーザー治療後、肌は一時的に炎症が起きた状態となり、色素細胞の活性化によりメラニン色素が生成されます。

炎症後色素沈着は一時的であり、適切なケアとともに、肌は正常な状態に戻ります。

個人差がありますが、おおよそ半年以内に自然に消失することが多いです。

色素沈着と通常のシミの違い

炎症後色素沈着と通常のシミとの主な違いは、発生の経緯や原因、そして現れる症状です。

発生の経緯

炎症後色素沈着は肌が傷ついて炎症を起こしたり、摩擦によって発生します。

やけど・外科手術・レーザー治療・強い摩擦など、肌にダメージを与える出来事が発端となります。

通常のシミは日常の紫外線曝露や加齢による肌の変化によって形成されます。

メラニンの過剰な生成が原因で、外部ダメージが直接的な原因ではないことが特徴です。

原因

炎症後色素沈着は外部刺激やダメージによる肌の炎症が原因です。

刺激によりメラニン色素が過剰に生成され、肌表面に灰褐色・茶褐色・紫褐色のシミが現れます。

炎症により色素細胞が一時的に活発化しただけなので、肌の健康状態が落ち着けば自然治癒が期待できます。

通常のシミは主に紫外線による肌へのダメージや、加齢によるメラニン生成排出バランスの不均衡が原因です。メラニンが局所的に蓄積し、シミとして現れます。

肌のターンオーバーが乱れてメラニンが排出されず、慢性的に蓄積しているため、レーザーなどで人工的にメラニンを除去する必要があります。

特徴的な症状

炎症後色素沈着は炎症の結果できたシミであるため、肌が炎症を起こした部位に現れます

通常のシミは顔・手・デコルテなど日光が当たりやすい部位に現れることが多いです。

色味は茶色や薄い黒で、シミの形状や大きさは様々です。

炎症後色素沈着と通常のシミはどちらもメラニン色素の不均衡によって引き起こされ、色素沈着として表れることが共通しています。

レーザー治療後に色素沈着ができる原因

顔のくすみ

レーザー治療後に色素沈着ができる原因は主に4つあります。

・照射による炎症
・メラノサイトの活性化
・デリケートな肌状態
・治療後の不適切なケア

それぞれ詳しく解説します。

照射による炎症

レーザー治療は、肌に熱エネルギーを送り込むことで、治療対象の組織を破壊または修復する目的で行われます。

これにより、肌は一時的に炎症を起こし、治療部位が火傷のような状態になります。

レーザーの出力が不適切で肌への負担が大きいと炎症後色素沈着のリスクが高まります。

メラノサイトの活性化

炎症が起こると、色素を生成するメラノサイトが活性化されます。

メラノサイトはメラニン色素を生成する成分で、メラニン色素を過剰に生成した場合に排出できずに色素沈着として肌に残ります。

デリケートな肌状態

レーザー治療後、肌はデリケートな状態にあり、外部刺激に対していつも以上に敏感です。

紫外線や摩擦、過度なスキンケアなどが刺激となり、色素沈着が起こりやすくなります。

治療後の不適切なケア

適切なアフターケアが行われない場合、肌のバリア機能が正常に働かず、色素沈着が悪化する可能性があります。

たとえば紫外線予防保湿が不十分だと、肌のバリア機能が低下しターンオーバーが乱れてメラニンが蓄積しやすくなります。

色素沈着ができるメカニズム

炎症後色素沈着は下記の経緯で発生します。

まず肌がレーザーなどでダメージを受けると、損傷した組織を修復しようとする生体反応として炎症が起こります。

すると肌にもともと存在しているメラノサイトが刺激を受け、活性化されて通常よりも過剰な量のメラニン色素を生成し始めます。

さらに、レーザーなどで一時的に敏感になった肌は乾燥や紫外線によりターンオーバーが乱れ、メラニンの排出が滞って炎症後色素沈着として肌に残ります。

これが、炎症後色素沈着として知られる茶色いシミのメカニズムです。

治療後どの程度で色素沈着が現れるか

炎症後色素沈着は、レーザー治療後2週間~1ヶ月程のうちに現れます。

レーザー治療直後は、照射部位のシミが一時的に黒く濃くなり、かさぶたが形成されます。

かさぶたが自然に剥がれ落ちた後に色素沈着が残っていたら、炎症後色素沈着が起きていると判断できるでしょう。

色素沈着の治療方法と対策

ハイドロキノンとトレチノイン

炎症後色素沈着の治療方法を5つ解説します。

ハイドロキノン・トレチノイン

ハイドロキノン・トレチノインクリームを1日に1回から2回塗布する治療方法です。

有効成分をクリームとして直接肌に塗布することで、色素沈着に直接アプローチします。

トレチノインはメラニン色素を排泄する効果、ハイドロキノンはメラニン色素の産生を抑える薬です。

単独でも使用できますが、クリームとして併用すると古いメラニンの排泄と新しいメラニンの生成の両方にアプローチできてより色素沈着への効果が期待できます。

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内服薬

内服薬で身体の中から肌を改善するのも有効です。

色素沈着の治療に用いられる内服薬は、たとえば下記の成分があります。

薬品名主成分効果
トランサミントランサミン・肝斑をはじめとしたシミの改善効果
・美白効果
シナールアスコルビン酸パントテン酸カルシウム・美白効果
・シミ改善
・予防効果
ユベラビタミンE・ターンオーバーの促進
ハイチオールL-システイン・シミの改善効果
・ターンオーバーの促進
・美白効果
タチオン錠グルタチオン・抗酸化作用
・美白効果

内服薬には医師が処方する医療用医薬品と薬局で買える市販薬があります。

医療用医薬品は治療効果が承認されており、医師が患者の症状や健康状態を考慮して適切な薬を処方してくれます。

市販薬は重篤な副作用の心配が少ない分、効果も緩やかですが薬局やドラッグストアなどですぐに入手が可能です。

副作用も踏まえて色素沈着に効率よくアプローチしたい方は医療用医薬品を、毎日の生活に気軽に取り入れたい方は市販薬を選ぶとよいでしょう。

ビタミンC誘導体

ビタミンC誘導体は、水や熱で壊れやすいビタミンCの安定性を高めた成分です。

生のビタミンCよりも角質層までの浸透がよくなり酸化のリスクも軽減しているため、市販の化粧品にひろく配合されています。

ビタミンC誘導体はメラニンの生成を抑えてシミやソバカスの形成を防ぐほか、肌のターンオーバーを正常化して古い角質やメラニンを排出すると言われています。

※化粧品の浸透は角質層までとなります。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングは、皮膚に化学薬品を塗布することで皮膚を剥がし、ターンオーバーを促進する治療方法です。

繰り返すことでメラニンを含んだ古い皮膚が剥がれるため、シミを薄くする効果が期待できます。

ケミカルピーリング ケミカルピーリングの詳細はこちらから

レーザートーニング

レーザートーニングは、低出力のレーザーを使用して肌の改善を促す治療法です。

低出力であるためメラノサイトを刺激せず、メラニン色素を壊せるのが特徴です。

肌全体に均一に照射するため、広い範囲のトーンアップが叶います。

炎症後色素沈着部分はすでに炎症を起こした部位のため、強い出力のレーザーを照射すると刺激になり、さらなる肌トラブルを引き起こす可能性があります。

そのため、炎症後色素沈着の治療にはマイルドな出力を均一に照射する治療が適しているのです。

トーニングレーザー レーザートーニングの詳細はこちらから

ピコレーザー

ピコレーザーは、レーザーを顔全体にシャワーのように照射しメラノサイトの働きを抑えつつコラーゲンの産生を促進する治療です。

顔全体にも、気になる部位にピンポイントでの照射もできます。波長が約1060nmと長く、肌の奥まで届くため、根深いところから発生している色素沈着にも対処できるのが特長です。

色素沈着にならないために。シミ治療後のスキンケアの注意点

シミ治療後は肌がいつもより敏感になっているため丁寧にケアする必要があります。シミ治療後のスキンケアにおける注意点を2つ解説します。

摩擦や刺激を避けることが大切

レーザー治療後は特に肌を摩擦しないよう気を付けることが大切です。

洗顔はよく泡立て、直接指でこすらないよう泡で優しく洗います。

すすぎはお湯だと皮脂を取りすぎてしまい乾燥を招きます。ぬるま湯で石鹸が残らないようしっかりすすぎましょう。

シャワーのお湯を直接当てるのはNGです。水圧が刺激となり、色素沈着を引き起こすリスクが高まります。

タオルで拭くときもこすらずに優しく押し当てるように水分をふき取りましょう

スキンケアの際も注意が必要です。 コットンや手のひらで何度もパッティングすると刺激になります。

スキンケアアイテムを手のひらに取り、優しく押し当てるように浸透させましょう。

紫外線対策

レーザー治療後の紫外線予防は普段以上に徹底してください。

治療後は肌のバリア機能が一時的に弱まり、敏感になっています。

そのため紫外線の影響もいつもより受けやすく、シミやシワのリスクが高まります。

日焼け止めは曇りの日や屋内で過ごす日も必ず塗り、汗をかいたら塗りなおします。

レーザーを照射した部位は長袖や帽子で念入りに保護するのもおすすめです。

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