今回は、当院でも相談の多い老人性イボについてお伝えします。
2023年3月のドイツの皮膚科学会の雑誌で、老人性イボについてわかりやすくまとめた論文が発表されたため、その内容を中心にお伝えしていきます。
老人性イボとは
年齢とともに、顔や首・背中などに出てくる茶色いシミのようなものです。シミと異なる点は、触れると若干凹凸があるということです。
例として
・化粧をする際にファンデーションを塗った時、凸凹する感じがある
・ファンデーションがシミにたまる感じがある
場合は、シミではなく
老人性イボの可能性が高いです。
老人性イボができる原因
①加齢とともに出る方が多い
②遺伝でできやすいできにくいがある
大きく分けてこの2つがイボができる大きな原因と論文でも言われています。
そのほかの原因として、
紫外線が上げられることが多いですが、論文によっては紫外線が関係していないと記述しているものもあり、論議の余地があると言われています。
しかし、実際に患者様の診察をしていて感じることは、秋田の方は車の運転をする機会が多いため、右側から太陽の光を浴びることが多く、首や顔のイボも右側の方が多く出ているなという印象があります。
また東京の患者様は、車を運転する機会が少ないためイボのでき方に左右左が無いことが多いです。
そのため当院を受診された患者様には、紫外線の予防をしていただくようにお願いしております。
老人性イボの治療方法
治療方法は
外科的除去になります。
炭酸ガスレーザーや液体窒素、医療器具での切除などがあります。
これらの治療方法は、1つ1つイボをとっていくため確実にイボを取ることができます。しかし、治療後に赤みが出たり、テープでの保護が必要などダウンタイムがある治療となっています。
手軽な塗り薬が開発されている
①ビタミンD3軟膏
現在、皮膚科でも処方できる薬になっています。
この薬を
1日1回から2回を3ヶ月塗り続けた時に、30%の人のイボが取れたという報告が上がっています。
日本ではまだ販売されていないアメリカで販売されている薬で、合計937人を対象にした調査で、体に複数あるイボのうち4つを選択し、選択したイボに2回ほど薬を塗った結果、3ヶ月後に4つのうち3つ以上イボが取れたという方が24%いたとの報告を受けています。
塗り薬でイボが取れたらとても手軽ではありますが、最短でも3ヶ月程度の時間は必要になりますし、
改善率も3割以下となっているため、塗り薬よりも外科的治療の方が、確実に早く治療ができます。
また近年では、飲み薬の治療研究も始まっています。