老人性色素斑(シミ)治療
老人性色素斑とは
シミが気になって、このページを訪れた皆さま。
あなたが気になっているシミは、下のAタイプ、Bタイプどちらでしょうか?
- Aタイプ……これ!と指でさせる
- Bタイプ……このあたり、と丸で囲む
Aタイプ
まさにこのタイプが「老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)」です。
こちらのページで解説していきます。
Bタイプ
こちらの場合は、老人性色素斑ではなくて、「肝斑」の可能性もあるので、肝斑のページをご参照ください。
いわゆる「シミ」と言って、真っ先に皆さんが思い浮かべるタイプ、そして先ほどのAタイプのように「これ!」と指をさすことができる茶褐色の色素斑が「老人性色素斑」です。
おもに顔面や手背、前腕などによく見られ、名前としては「老人性」と名前がついていますが、早ければ20代後半から出現してきます。
↓30代男性の頬部の老人性色素斑↓
50代女性の頬部の老人性色素斑
50代女性、手の甲の老人性色素斑
80代女性、前腕の日光色素斑
*手首近くの薄い色のほうが日光色素斑、肘のほうの目立つ色素斑は脂漏性角化症に変化している
老人性色素斑の特徴
1.直径3~30mmほどの「丸」あるいは「楕円形」
2.色は、薄茶色~こげ茶色
3.色はほぼ均一
4.シミの部分が盛り上がっていない
触ったときに表面が平らなため、ファンデーションを塗ると境界部分に溜まったりすることなく、比較的きれいに隠すことができます。
老人性色素斑と似ているシミ~良性~
脂漏性角化症:もともとシミ(老人性色素斑)だったものが、イボに変化する場合があります。
40代以上の方で、直径10㎜を超える、5年以上あるシミが脂漏性角化症(イボ)に変化する場合があります。
こめかみあたりのシミは、最初から少し隆起した茶褐色丘疹として出てくる場合もあります。
脂漏性角化症(イボ)の特徴は、
1.茶褐色
2.触るとわずかに盛り上がりを感じる
シミのふちにファンデーションの粉がたまる(ファンデーションを塗ると目立つ)
3.表面がなんとなくテカッとしている、あるいは、ザラザラしている
脂漏性角化症(イボ)の場合は、シミ取りレーザーよりも、いぼレーザーで削る治療がおすすめです。
50代女性 脂漏性角化症(イボ)
40代女性、脂漏性角化症(イボ)
40代女性 こめかみの脂漏性角化症(イボ)
老人性色素斑と似ているシミ~悪性~
老人性色素斑と似ていますが、いわゆる、「皮膚癌」とよばれる色素斑です。
主に、基底細胞癌、悪性黒色腫(上皮内癌を含む)などが見られます。
これらの皮膚癌に共通する特徴は
2.シミと比べて、より色が濃い
3.形がいびつで、なんとなく不気味
4.20代の方でもできることがある
5.どんどん大きくなる
50代女性 悪性黒色腫:形がいびつ、色ムラがある、なんとなく不気味
60代男性 基底細胞癌
形がいびつ、なんとなく不気味、色が濃い、どんどん大きくなる
皮膚癌の中でも悪性黒色腫は、命を脅かす悪性度の高い皮膚癌です。
これらの症例はどちらの方も「シミを治療したい」とクリニックを受診してくださいました。
自己判断でシミの治療をせず、クリニックにご相談くださって本当によかったと思います。
20代の方でもできる可能性がある(*1)ので、気になるシミは一度皮膚科クリニックで悪性かどうかを相談されることをおすすめします。
*1 「悪性黒色腫全国統計調査:2005〜2013年度の集計結果」.『Skin Cancer』.29(2):189-194,2014.
老人性色素斑はどこにできる?腕、足、背中にもできるか?男性にもできる?
・手の甲や、腕にもみられる
・下腿(すね)にもできる
・背中(肩の部分)にもみられることがある
背中には、強い日焼けのあとや何度も日焼けを繰り返した場合にできることがあります。
・男女を問わずできる
老人性色素斑は大きくなる?
老人性色素斑は、ゆっくり大きくなります。
自分で見分ける方法
一番簡単な方法をご紹介します。
携帯電話でシミの写真を撮って、拡大してみてください。
イボ:端が明確ではっきりしている、表面がなんとなくテカッとしている
老人性色素斑の原因
老人性色素斑ができる原因は、刺激と炎症、そして紫外線と考えています。
実は、老人性色素斑の原因は医学的にはっきりまだ理解が進んでいません。
しかし、日々、患者さんたちを診ていると、老人性色素斑ができる場所は「顔」「前腕」「下腿」、そして強い日焼けや繰り返し日焼けをした場合の両肩にできるケースがほとんどです。
つまり、肌へ刺激や炎症があり、そこに紫外線が加わると老人性色素斑になるのではないか?と当院では考えています。
そう考えると、老人性色素斑ができないようにするには、
2.紫外線から肌を防御する
この2点を徹底することで、新しい老人性色素斑ができることを防ぐことに役立つといえます。
刺激や炎症の原因
・ニキビ
・油跳ねのやけどなど
・繰り返す湿疹
これらをできるだけ作らない、もし炎症が起きたときには素早く抑え込む。
なかなか湿疹やニキビが治らない時には、クリニックにご相談ください。
他にも、シミのできやすさに関係しているのでは……と考えていことが2点あります。
1)遺伝
ゴミ捨てに外に出るときも、しっかり日焼け止めを塗っているのに…なんで私はシミができるの??というご相談もよくいただきます。
確かに、紫外線対策はしっかりできているのかもしれませんが、もしかするともう一つのシミの原因「刺激・炎症」が抑えられていないからシミができちゃうのではないか? と考えますが、もう一つ…シミができやすい遺伝があるのではと考えています。
ハッキリとしたシミができる遺伝子があるのではなくて、
・紫外線に対してメラニンを作る能力が高い
という反応があるのではないかと考えています。
2)紫外線に反応する飲み薬を飲んでいる
『薬疹情報 第19版』によると、2020年までに報告のあった薬疹の中で、薬を内服して光アレルギーや光過敏性が報告されている薬剤が、なんと122種類・140薬剤もあります!
血圧の薬や、高脂血症の薬、抗生剤、さらにはビタミン剤などでも光アレルギーが報告されています。
実際に、患者さんでこれらの薬を飲んでいる人は、肌全体に細かい老人性色素斑が多数みられる傾向にあると感じています。
3.赤色の老人性色素斑はある?
赤色のシミもあります。
我々は、これを「赤みシミ」と呼んでいます。
①茶色の老人性色素斑
②赤シミの老人性色素斑
赤色の老人性色素斑
ピコYAGレーザー照射後…
①は、レーザーに反応して取れている
②は、レーザーで茶色が取れているが、赤みが残っている
茶色だけのシミは、シミ取りレーザー照射でキレイになりますが、赤シミはシミ取りレーザー+赤み照射が必要になります。
4.老人性色素斑を自分で治す(消す)方法ってあるの?
いつの間にか目立つようになってしまったシミを、きれいに消したいと思っている方も多いのではないでしょうか。
シミは痛みや痒みを伴わないため、すぐに治療が必要なものではありません。
そのため、自宅でのスキンケアやサプリメントで「少しずつ消せればいいな」とセルフケアを行なっている方も多いです。
この記事ではシミに有効な治療方法や、セルフケアでシミを予防する方法を詳しく解説していきます。
自宅でのセルフケアに美容治療を取り入れることで、さらに高い効果を得ることができます。シミをきれいにしたいとお考えの方はぜひ参考にしてください。
5.老人性色素斑に効く市販薬はあるの?
老人性色素斑は、ケシミン、ハイドロキノン、トラネキサム酸でとれるのでしょうか。
シミを消す3大原則
2.肌の炎症を抑える
3.新しい過剰なメラニンが作られるのを防ぐ
この3原則を満たすと、シミを消し去ることができます。
ケシミンなど市販の美白剤は、「3」を目的に作っています。
ハイドロキノン
「3」の働きをします。
市販の化粧品よりメラニンに直接作用して、色を作らないようにします。
ただし、刺激がある成分なので、「2」の炎症を増してしまう可能性があります。
トレチノインを一緒に使うことで、「1」の働きが加わるので、シミ治療が可能になります。
実際の診療では、ハイドロキノンだけの使用では効果が低いと感じています。
ただ肌に塗っただけでは色を作る細胞のところまで浸透しないが、炎症を引き起こすことがあるので、要注意です。
トラネキサム酸
「2」の効果が強いです。
「1」と「3」に直接働きかける効果というより「2」の結果の炎症を抑えるから、「3」が誘導されます。
6.老人性色素斑はレーザーで治るイメージがあるけどその費用は
シミ治療では、1つ○○円という設定をすることもあります。
でも、シミ1つだけという人は珍しく、複数個シミを治療することが実際の診察では多くあります。
また、シミレーザー治療って、テープを貼る期間もあるので、どうせなら一気に治療することがおすすめです。
それなので、FLALUクリニックでは、まとめてシミを取るプランをご準備しています。
FLALUクリニックのシミ取り放題
7.セルフケアでできる老人性色素斑対策
紫外線対策の重要性
老人性色素斑予防にも、薄くするためにも日焼け止めを塗ったり、日差しを避けたりすることは大切です。 特に、老人性色素斑は、紫外線が当たる部分にできやすく、健やかできれいな肌のためにもしっかり日焼け対策を行ってください。 このタイプの肌の方は、日焼け止めを塗ったからと過信せず、日差しを避けることが大事です。
効果的な美白成分と選び方
日中は、紫外線の肌への影響を減らしてくれる成分を、そして、夜になったら紫外線のせいで起きた炎症を抑えてくれる美容成分を使いたいものです。
肌の外側から美容液などで補うことと、体の内側からサプリメントで補う、その両方ができるといいですね。
紫外線の肌への影響を減らす…活性酸素を除去してくれる、抗酸化力があるそんな成分がぴったり…フラーレン、ビタミンC、アスタキサンチン、ビタミンE
紫外線のせいで起きた炎症を抑えてくれる成分…ビタミンC、トラネキサム酸、アガリクス
家庭でできるケア方法
体の内側から、紫外線の影響を減らして肌の再生を進めるために、ぜひ食事から必要な栄養素を取っていただきたい。
過剰に作られるメラニンを抑え、紫外線に対する抗酸化力があるビタミンC、
抗酸化力が高く肌自体にSPF4程度の日焼け止め効果をもたらしてくれるビタミンE
合わせて、紫外線対策を完璧にすると不足してしまうビタミンDも積極的に食事からとって欲しい栄養素です。
ビタミンE:ナッツ類、うなぎ、パプリカ、モロヘイヤ、ヒマワリ油、かぼちゃ、アボカド
ビタミンD:キノコ類、サンマ、ウナギ、真イワシ、サケ